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インバウンド解禁からまもなく半年。ジャパンガイドアクセス動向から、回復具合を観測(前編)

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先日、JNTOより2023年2月の訪日外客数の発表がありました。
今年1月の数字と比較すると訪日外客の増減は殆どなく横ばいですが、前年比では約880%の伸びを記録しており、インバウンド解禁後の順調な回復を感じさせられます。

以前に当ブログでもインバウンド解禁後のジャパンガイドのアクセス推移を紹介させていただきましたが、今回は直近3か月のデータを軸として、戻ってきたインバウンドの状況をさらに細かく分析していきたいと思います。

全体的に上昇傾向、東アジアの好調が特に目立つ一年

直近3か月間と前年同期間の国別のアクセス数TOP20

図表1:直近3か月と前年同期間のジャパンガイド国別アクセス比較
(※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2021/12/18~2022/3/17)

まず、直近3か月のデータとコロナ禍による入国規制の影響下にあった前年同期間のデータを見比べてみました。

図表1を見ると、全体の数字は293万→769万アクセスと、変化率+162%で推移しています。
これに対して、直近3か月でTOP20入りした国の中で全体の成長を上回る動きを見せた国々を赤文字で記しています。このうちでも全体の成長の倍の伸び率を見せた国々を太字にしています。東アジアの英語圏または英語と親和性の高い国々が中心です。
太字にしたなかでもシンガポールは凄まじい伸び率を記録しており、+900%以上の変化率です(シンガポールについてはこちらの記事もご参照)。
東アジアの英語系の国々の名前が目立ちますが、それらに対してフィリピン、インド、インドネシアなどは他と異なる数値の動きをしているのが伺えます。なかでもインドに関しては昨年同期から僅か30%の増加と、著しく動きが低調です。

欧州圏の国々の動きについては、オランダやスイスなどの例外もありますが多くは全体の変化率を下回る動き出しとなっています。
アメリカも全体の変化率を下回る動きをしていますが、アメリカはインバウンド解禁前ですら現在の急増したシンガポールより多いアクセスを記録していました。アメリカでは訪日旅行が解禁される以前からジャパンガイドで日本の情報をチェックされていたユーザーが多かったため、インバウンド解禁を期とする伸び率は他国に比べて控えめになったと考えられます。

直近3か月では北米圏のアクセスとタビナカ利用が大幅up

直近3か月間とその前の3か月間の国別のアクセス数TOP20

図表2:直近3か月とその前の3か月のジャパンガイド国別アクセス比較
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2022/9/18~2022/12/17

先程はこの1年間の変化を見ましたが、次にここ最近の動きを見るため、直近3か月(2022年12月18日~2023年3月17日)とその前の3か月(2022年9月18日~12月17日)のデータを比較してみます。

図表2を見ると、全体の数字は9月18日~12月17日の期間の590万から、直近3か月では769万に増加(変化率+30.32%)しています。
変化率では直近3か月のアクセス数トップ20各国のうち15か国(赤字)が全体の伸びを上回っており、+60%以上のカナダ、台湾、スイスが特に大きな伸びとなっています。
変化率ではなく実際に動いた数字で見ると、大きいのはアメリカと日本国内からのアクセス増加で、いずれも40万~50万の増となっています。カナダも約12万もの増となっており、この3か国だけで+101万のアクセス増です。この三か月の間だけに限ると、太字で表記した北米圏からのアクセスと日本国内からのアクセスが特に大きく伸びているのがわかります。
一方で、昨年同期との比較では飛躍的な伸びを見せていたシンガポールやマレーシア、タイ、香港はいずれも横ばいの変化率となりました。

直近3か月間の日本国内からのアクセスの内訳

図表3:直近3か月のジャパンガイド国内アクセスの言語別内訳
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17

ここで日本国内からのアクセスについて、掘り下げてみます。
Google Analyticsでは、ユーザーの位置情報に加えて、使用しているデバイスの言語コード設定からもデータを集計することができます。こちらを使用すれば、直近3か月の日本国内からのアクセス数1,688,339の詳細を確認できます。

図表3を見ると、直近3か月の日本国内からのアクセスのうち、日本語設定のデバイスによるアクセスは全体の1割に満たない15万であることが確認できます。このことから、全体の90%超が他言語設定デバイスからのアクセスであることがわかります。
また、英語設定デバイスは全体の80%超となっており、ジャパンガイドへの日本国内からのアクセスの8割以上が英語系のユーザーからのものであると言えます。

この中には在日外国人の利用も一定数あるものと思われますが、これまで見てきた国内からのアクセス増加とJNTO発表の訪日外客増加状況を併せて考えると、多くは訪日旅行者がタビナカで情報収集のために使用されていると考えることができます。

北米・シンガポールからのアクセスは既にコロナ前の水準に

直近3か月間とコロナ禍前の同期間の国別のアクセス数TOP20

図表4:直近3か月とコロナ前の同期間のジャパンガイド国別アクセス比較
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2018/12/18~2019/3/17

最後に、図表4にて直近3か月とコロナ禍前(2018年12月18日~2019年3月17日)の同時期でデータ比較をしてみます。

コロナ前の同時期の合計セッション数は920万。直近3か月のセッション数769万はコロナ前と比較すると、変化率-16%です。訪日旅行客の数自体もまだ2019年の水準に達していませんが、ジャパンガイドのアクセス数も未だ完全回復には至っていません。
青字で表記した国々は、全体の変化率-16%の倍以上のマイナスを記録している国々で、ここでもインドネシアの名前があがります。フランス・イタリアの2国も低調です。
一方で、赤字にした国々については全体の変化率である-16%よりも良い推移を記録しています。アメリカ、シンガポール、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イスラエル、台湾、スイスの8カ国です。
これら8カ国のうち、コロナ前よりも数値を伸ばしている国を太字にしました。
シンガポールの高さがここでも目立ちますが、北米の2国もコロナ前の水準にほぼ戻っているのがわかります。
ジャパンガイドは英語メディアですが、であるにも関わらず台湾からのアクセスが良好なのも驚きですが、それ以上に意外なのはイスラエルの伸び率ではないでしょうか。
このイスラエルの伸び率の高さについては、おそらく今年3月に成田空港とテル・アビブを結ぶ直行便が開始された影響ではないかと推測されます。

まとめ

ここまで、ジャパンガイドの直近の3か月の国別アクセスデータと、一年前の同時期・直前の3か月・コロナ前の同時期のデータを見比べてきました。
総括すると次のようになります。

・英語系東アジア各国はインバウンド解禁から素早いリアクションを見せたが、シンガポール以外は依然としてコロナ前の水準には達していない。また、フィリピンやインドネシアは他の東アジア各国とは異なる動きを見せている。
・北米からのアクセスはここ3か月で急激に伸びており、既にコロナ以前と同等程度に訪日意欲が高まっているのが伺える。北米に比べるとオーストラリア・ニュージーランドの動きは若干緩やかながら、近い傾向が見られる。
・欧州からのアクセスは順調に増えているものの、多くは未だコロナ以前の水準には到達しておらず、今後さらに継続的に上昇していくことが期待される。

近日公開予定の後編では、ジャパンガイド内でよく見られているページの推移を見ていきます。

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