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インバウンド解禁からまもなく半年。ジャパンガイドアクセス動向から、回復具合を観測(後編)

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前回に続いて、ジャパンガイドの直近の3か月のアクセスデータを、一年前の同時期、直前の3か月、コロナ前の同時期とそれぞれ見比べていきながら、インバウンドの回復状況を見ていきます。
前編では国別のセッション数の数を見ていきましたが、後編ではページごとの閲覧回数データ(PV数)を使って、よく見られているページの推移を見ていきます。

インバウンド解禁前後でよく見られるページに大きな変化

直近3か月間と前年同期間のページごとの閲覧数TOP20

図表1:直近3か月と前年同期間のジャパンガイドPV数トップ20比較
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2021/12/18~2022/3/17

図表1は、直近の3か月間と前年同期間のそれぞれでよく見られたページのトップ20と、そのPV数の比較です。
前年分が合計448万PVに対して直近の3か月では1467万PVと、文字通り桁違いにPV数が向上しています。
前年分でトップ20に入ったページタイトルのうち、直近のランキング上位20に入らなかったものを青字で表記してみました。インバウンド解禁前と後でユーザーが見ているページが違うのがわかります。
インバウンド解禁以前は映画や歴史、神道、漢字など旅行に直接関わるものではなく文化的・知識的な要素のものがよく見られていました。また、「生活費」「税金」など日本在住の方々に見られていそうなコンテンツも上位入りしていました。

それらに対して、昨年同期間にはトップ20に入っていなかった項目を赤字にしています。直近の3か月では旅行者が頻繁に訪れる都市・エリア名が上位に多数見られるようになり、また伏見稲荷など、より具体的なスポット名も登場しています。
特に大きな伸び率を記録している3コンテンツを太字にしましたが、なかでも注目したいのは「Japan Rail Pass Calculator」です。

Japan Rail Pass Calculatorページ

こちらは記事ではなく、旅程決めや予算組みのために使用するツールです。旅行に関する基本的な情報収集のためではなく、具体的な旅程に基づいて最適なJR Passのプランを検討するために用いられるものです。このページを閲覧するのは訪日旅行の計画に関する細かい計算まで行う段階まで来ているユーザー、つまり訪日の予定がかなり近いユーザーが直近3か月で多くジャパンガイドに訪れていると考えられます。

JR Passについて調べている方が急増中の3か月

直近3か月間とその前の3か月間のページごとの閲覧数TOP20

図表2:直近3か月とその前の3か月のジャパンガイドPV数トップ20比較
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2022/9/18~2022/12/17

続いて、直近3か月とその前の3か月を見比べてみます。全体の数では1147万→1467万と、320万PVの伸び(+28%)となっています。
直近の3か月と、インバウンド解禁のタイミングでもあったその前の3か月で、上位に来るページの顔ぶれに少し違いが出ています。

図表2では、この直近3か月で大きく数字を落とした項目を青字にし、逆に伸びが顕著な項目を赤字にしています。
まず、インバウンド解禁前から9-12月の期間まで上位に入っていた「Travel Alert」の項目が直近3か月で大きく位置を下げているのが目につきます。それに替わるようにPV数を伸ばしているのは、「コロナに関するマナー」という、実際に日本国内を旅行するためのエチケットに関するページです。
また、9-12月の段階では旅行時期を検討する記事「When to travel to Japan」が上位に入っていました。インバウンド解禁を知って即訪日旅行の時期を検討し始めたが多かったためと考えられます。上記に対して直近3か月で特にPV数を大きく伸ばしているのは、先程も触れた、詳細な訪日旅行プラン作成や費用の計算を行っているユーザー数のバロメータとも言えそうな「JR Pass Calculator」です。
インバウンド解禁直後にはまだ訪日旅行願望に過ぎなかった層が比較的多かったのに対し、直近の3か月ではもっと具体的な旅行計画の段階に入っているユーザーが増えたのだと考えられます。

移動手段関連へのアクセスはコロナ前よりも好調

直近3か月間とコロナ禍前の同期間のページごとの閲覧数TOP20

図表3:直近3か月とコロナ前同期間のジャパンガイドPV数トップ20比較
※Google Analyticsデータ参照:2022/12/18~2023/3/17と2018/12/18~2019/3/17

最後に、図表3にて直近3か月とコロナ前の同期間のデータを比較します。
コロナ前のPV数1953万に対して、直近3か月で稼いだPV数は1467万でした。まだ戻ってきていない数値は、例えばジャパンガイド毎年春の人気コンテンツ「桜予測」の数字の違いなどに現れています。

青地にした項目は、コロナ前と比較すると特にPVを落としているコンテンツです。「目的地」「旅程の提案」の二つですが、いずれも訪日旅行を希望されるユーザーが行先や旅程を決めるにあたって参照するようなページです。どちらも全体の変化率を大きく下回る-60%超の落ち込みとなりました。訪日旅行が再び盛り上がっている時期にも関わらず、人気コンテンツであったこの2つの需要が低いのは少し不思議な現象です。
これらに対して、コロナ前よりむしろ伸びているコンテンツを赤字にしました。伸び方が顕著なのは、先述の「Japan Rail Pass Calculator」をはじめとした具体的な国内移動手段に関する記事のPV数です。

これらの傾向については、次のように仮説を立てることができます。
旅行の計画を立てるにあたって、まず最初にやることは、どこで何日過ごして次にどこのエリアに移るかなどの大枠の旅程を検討することです。大枠の旅程を決めた後に、各滞在先で何をするか等のより具体的な行程の検討や費用の計算、現地での移動手段の確認などを行います。つまり、ユーザーが「目的地」や「旅程の提案」のページを必要とするのは旅行プランニングのかなり初期の段階、「Japan Rail Pass Calculator」のようなページを必要とするのはプランがある程度具体化した後の段階です。
上記に対して、現在日本に来ることを予定してジャパンガイドを見ているユーザーの多くには、訪日したくても出来なかった長い期間がありました。その期間を使って旅行プランの大枠を固めているという人も、かなりの数いるものと考えられます。
その場合、今は「旅程の提案」ページのような旅の大枠を考えるためのコンテンツを必要としておらず、もっと具体的な部分の確認を行っている――現在ジャパンガイドを訪れているのはそのようなユーザーが多数であると考えられそうです。

まとめ

ここまで、長くなりましたが直近3か月・その前の3か月(インバウンド解禁の時期)・前年の同期間(インバウンド解禁前)・コロナ以前の同期間の4つの時期について、前編では国別アクセス、後編では人気ページという切り口からジャパンガイドのデータ比較を試みてきました。

人気ページの傾向についてまとめると、次のようになります。
①インバウンド解禁前は、訪日旅行に直接的に関わるコンテンツへのアクセスが減少し、文化的・知識的なコンテンツへのアクセスが目立った。
②インバウンド解禁直後から現在にかけて、各エリアやスポットのページも伸びているが、それら以上に具体的な国内移動手段に関するコンテンツの伸びが大きい。
③数字は一時期よりも回復しているがコロナ前の水準には達しておらず、特に目的や大枠の旅程を検討するためのコンテンツのPVは落ち込んでいる。それらとは逆に、②でも触れた国内移動に関するコンテンツはコロナ前以上に閲覧されている。

今回は2回に渡って、様々なデータ比較からコロナ禍からのインバウンド回復状況をジャパンガイド上で見てきました。過去に例のない、長期間に渡った入国規制明けということもあり、今後もしばらくは興味深いデータが見られることでしょう。
ジャパンガイドでは、今後も訪日外国人ユーザーに有益な最新情報を提供するとともに、最新のアクセス状況やユーザー傾向などを皆さんに発信していきます。

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