エリア別にみたアメリカ人ユーザーの異なる訪日傾向・特徴とは
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ジャパンガイドの主なターゲットは、欧米豪シンガポールのユーザーをはじめとした英語ネイティブ圏です。今回は、その中でも圧倒的にアクセス数が多いアメリカに焦点を当てていきます。
皆さんもご存じの通り、アメリカは国土も広く、地域によって人種や宗教もさまざまです。そのため、一括りに「アメリカユーザー」と分類できないことが大きな特徴です。
この記事では、前半ではコロナ前のデータを、後半ではコロナ後のデータを用いて、ジャパンガイドのアメリカ人ユーザーの特徴を東海岸と西海岸ごとに分析していきます。
今回の記事の3つの主なポイント
・日本までの距離が遠い東海岸よりも西海岸の方が訪日意欲が高く、カリフォルニア州は特に市場規模が大きい。
・アクセスデータから、東海岸は訪日旅行に関する基本的な情報を、西海岸はより具体的な旅先のアイデアを探す傾向があることが読み取れる。
・訪日観光客が新型コロナウィルスに対して過度に神経質になる可能性は低いが、混雑緩和、地方への送客、施設ごとの感染症対策などは引き続き取り組む必要がある。
コロナ発生直前の1年間のジャパンガイドサイト全体の国別アクセス数をみると、アメリカが全体の17%と日本国内からのアクセス(訪日旅行中または在住外国人ユーザーがメイン)に次ぎ、2位となっています。
アメリカユーザーからのジャパンガイドへのアクセス数は、過去5年間で18.81%増と大きく伸びています。日本全体としてみても、訪日アメリカ人の数は過去5年間で約1.7倍と、2019年には1,723,861人を記録しており、今後も増加していくことが見込まれます。
エリア別にみるアメリカ人ユーザーの特徴
以下、アメリカの州別アクセスランキングです。
カリフォルニア州が最も多く、アメリカユーザー全体の27.30%を占めています。次いで、ニューヨーク州、テキサス州、イリノイ州、フロリダ州とおおよそ人口の多い州順にランクインしています。
カリフォルニア州のユーザーからのアクセスが圧倒的に多い理由としては、以下が考えられます。
・東海岸をはじめとした他州に比べて、日本への距離が比較的近い。(ニューヨーク州から日本までの直行便は約14時間、カリフォルニア州から日本までの直行便は約9~10時間)
・アジア系人口が15.1%を占めており、より日本にルーツを持つ人や身近に感じる人が多いと考えられる点。(米国商務省センサス局 2020年国勢調査データ参照)
・直行便数が多く、アクセスがしやすい。
・アメリカ最大の日本人街があり、より日本食や日本文化が身近にある。
実際の州別の訪日ランキングをみると、以下の順位となり、西海岸側の州が上位を占めていることがわかります。
<アメリカ州別訪日者数ランキング>
エリア別にみるページ別アクセスランキング
次に、上位1、2位にランクインしたカリフォルニア州(西海岸)とニューヨーク州(東海岸)からのユーザーのページ別アクセスランキングをもとに、エリア別にどのような興味分野の違いがあるのかを分析していきます。
<カリフォルニア州VSニューヨーク州 ページ別アクセスランキング(コロナ前)>
やはり、ゴールデンルートと呼ばれる「東京」、「大阪」、「京都」は、両エリアともに不動の人気があることが分かります。また、「伏見稲荷」、「築地市場」についても、同様にエリア名としての知名度が高く、上位にランクインしています。
カリフォルニア州については、「金閣寺」(11位)や、15位以降でも「明治神宮」や「清水寺」、「祇園」などへもアクセスが一定数発生しています。
ニューヨーク州のユーザーに比べ、よりエリア名を認識し、具体的に目的地を検索していることが分かります。また、歴史的なスポットが多くランクインしているのも特徴です。
ニューヨーク州のユーザーの特徴としては、目的地や旅行日数に応じてパスの料金のシミュレーションができる「Japan Rail Pass Calculator」ページやおすすめの旅程を紹介する「Itinerary Ideas」ページが上位にランクインしています。
15位以降にも、旅マエに役立つ日本の旅行情報をカテゴリーごとに紹介した「Before you go」ページに一定数アクセスが発生していることから、より総合的・基本的な旅情報を求めているユーザーが多いことがわかります。
そのため、カリフォルニア州に比べ、未訪日層、または将来的に日本旅行を計画している(興味のある)ユーザーが多くアクセスしている可能性が高いと考えられます。
また、注目すべきは、ニューヨーク州の3位にランクインした東京都内のアニメ関連スポットを紹介する「Tokyo Anime Guide」ページです。
このページが人気な理由として、2017年から毎年11月にニューヨークで開催されている「Anime NYC」が関連している可能性が高いと考えられます。「Anime NYC」は、アニメをはじめとした日本のポップカルチャーを紹介する大規模イベントで、毎年約4万人を動員しています。
このようなイベントがきっかけとなり、日本アニメに興味を持つユーザーが、実際に日本での体験を求め、ジャパンガイドのページにアククセスしていると想定できます。現地でのプロモーション効果により、訪日への興味を持つ人が増えることは大変嬉しいことです。
コロナ前後で変化するユーザーの興味分野
コロナウイルスの影響で、国境を越える移動が制限され、旅行に行きたくても行けない・・といった状況が続いています。コロナ前後でユーザーの興味関心は、どのように変化しているのでしょうか。
ここからは、コロナ後のカリフォルニア州とニューヨーク州のユーザーのべージ別アクセスランキングを比較していきます。
<カリフォルニア州VSニューヨーク州 ページ別アクセスランキング(コロナ後)>
サイト全体の傾向と同様に、実際の旅行計画ができない今、Destinationページへのアクセスが減少傾向にありますが、依然として「東京」、「大阪」、「京都」は高いアクセス数を誇っています。
上記のエリアページのみが上位ランクインしたニューヨーク州に比べ、カリフォルニア州は、引き続き「金閣寺」や「伏見稲荷」、「築地市場」などの具体的なスポットのページがランクインしており、高い訪日意欲が継続していることが伺えます。
ニューヨーク州については、引き続き「Tokyo Anime Guide」ページ(4位)の人気が高く、こちらも日本アニメへの関心は依然高いことがわかります。
その他コロナ前に比べ、圧倒的にInterestセクション内のページへのアクセスが増加していることが一目瞭然です。「桜レポート」ページは、両州共に2位、3位にランクインし、アメリカ国内の東西を問わず人気が高いことがわかります。
また「神道」や「侍」、「漢字」など日本コアな文化に興味を持つユーザーからのアクセスが一定数発生しています。
今回は、アメリカの州別ユーザーによって異なる興味分野に焦点をあて、紹介しました。アメリカという一つのくくりではなく、エリアやターゲット層をしっかりと分析すると、このような違いも見えてきます。
それぞれのニーズに合ったより細かいアプローチをしていくことが、効果的なプロモーションのカギになるでしょう。