大阪のインバウンド 年間アクセスランキングトップ10
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来年には万博が開催ということで盛り上がりを見せている大阪。
今回はそんな大阪のインバウンドについて、ジャパンガイドの独自データからわかることを簡単に紹介させていただきます。
尚、媒体資料にも記載のある通り、ジャパンガイドは英語のみで情報発信をしているメディアのため、欧米豪圏やアジアでも英語を使用する国のユーザーの傾向が強く反映された結果となります。
フードとショッピングが急上昇中
最初に、ジャパンガイドの大阪セクション全39ページのページビュー数(PV)のトップ10を掲載します。以下図表①をご覧ください。
表示している項目は左から順にセクション内のランキング、ページタイトル(和訳)、直近1年間(2023年11月1日~2024年10月31日)のPV数、前年(2022年11月1日~2023年10月31日)のPV数、対前年の増減比率です。
この一年間での大阪セクション全体でのPV数は3,018,914となり、対前年で約13%のプラスとなりました。
同期間のサイト全体でのPV数推移は63,462,895→71,088,186(+11.2%)でしたので、全体をやや上回る程度の増加率です。大阪への注目が向上しているのだと思われます。
セクションの内訳ですが、サイトの構造上、最上位はアクセスされやすくなっているセクショントップページです。この1年間でもその前の1年間も、合計PVの1/3程度はこのページとなっています。
その次には「大阪城」をはじめ主要なスポットや観光ゾーンのページが続いています。
7位~8位にはフードガイドやショッピングガイドがランクインしています。
これらのページが主要な観光スポットに割って入るようにアクセスを集めるのは、大阪らしい特色です。
同じ関西の京都では、フードやショッピングの同期間のPV数は次のようになります。
・京都ショッピングガイド:71,268
・京都フードガイド:60,041
いずれも大阪のほうが大きく上回っています。セクション全体としてのPVは京都のほうが高い数値であるにも関わらず、フードやショッピングに関しては大阪のほうが注目されているのだと言えるでしょう。
また、この2ページともこの1年間で大きくPVを伸ばしている点でも共通です。
大阪での食やショッピングを楽しみにされているユーザーが増えていることが伺えます。
最も見られている大阪のコンテンツは「大阪城」
観光地情報では「大阪城」が最も見られており、続いて「新世界」、「ミナミ」、「黒門市場」、「箕面公園」、「USJ」となっています。
一般に大阪といえば 「大阪城」と「ミナミ」が代表的なので、「新世界」のほうが「ミナミ」より上に来ているのは意外に思えるかもしれません。
同様に、「箕面公園」が上位に来ていて、「USJ」が控えめな位置であることに驚かれる方も多いかもしれません。
これらの点については、次の図表をご覧ください。
図表②では、先程の10ページからセクショントップを除いた9ページのトラフィックソース比較を載せています。各データを簡単に解説すると、次の通りになります。
・青色:サイト回遊からのアクセス
=ジャパンガイドのサイト内の他のページを見た後にそのページにアクセスした数
・橙色:Google検索からの流入
=Googleキーワード検索で候補として表示され、クリックしてアクセスした数
・紫色:Google検索以外からの流入
=上記二つの経路以外でアクセスした数
(ブックマーク、外部リンク、他の検索エンジン経由など)
上記9コンテンツで最もGoogle流入数が高いのは「大阪城」の78,375PVとなっています。サイト内からのアクセスは74,148PVと少しだけGoogle流入より低い数値に収まっています。
数値は異なりますが、比率で見ると「黒門市場」のページが「大阪城」と同様の傾向を示しています。
対して「ミナミ」はGoogle流入が27,624PVと低めである一方、ジャパンガイドのサイト内からのアクセスは100,411PVと最多になっています。
比率で見ると「USJ」「箕面公園」なども「ミナミ」のページと同様の傾向を示しています。
Google流入数値が低いということは、Google検索からページにあまり結びついていないことを意味します。ではこの3箇所についてはあまりGoogleで検索されていないのでしょうか?
答えは、Google位置情報を米国などの地域に設定して実際に検索してみると見えてきます。
上記は左から順に「Universal Studio Japan」「Minami」「Minoh Park」の検索結果です。
このうちUSJはパーク公式サイトが先頭に出てきており、Google検索結果からチケット取得のため等でこちらにアクセスしている人が多いことが予想されます。
「Minami」に関しては人の名前が優先的に表示されてしまい、ジャパンガイドを含め観光情報はほとんど上位に表示されません。
この二つに関してはGoogleからジャパンガイドへは流入しにくい状況であると考えられます。
対して「Minoh Park」はジャパンガイドが検索最上位に出てくるにも関わらずGoogle流入数は30,040となっています。
おそらく、検索自体が少なめで、外国人旅行者の間での認知度が「新世界」や「黒門市場」ほどには達していないのだと考えられます。
とはいえ上記3コンテンツともにジャパンガイドサイト内からの流入比率は高いため、検索から見つけることは簡単でないものの、サイト内回遊で情報に辿り着くことさえできれば、関心が示されるコンテンツなのだと思われます。
旅行者が大阪で探しているのは「things to do」
最後に、Googleサーチコンソールで確認できる、大阪関連のキーワードの検索状況を見ていきます。
Googleサーチコンソールではキーワード毎でユーザーの検索候補として表示された回数や、それをユーザーがクリックした回数を確認できます。
そのうち大阪に関連するキーワードが入った候補のうちクリック数が多い順で並べたのが下記図表③の左側、表示回数数の多い順で並べたのが右側です。
ここでいう表示回数とは、そのキーワードで検索をかけた際に、ユーザーの画面に検索候補としてジャパンガイドのページが表示された回数を指します。
「osaka」「osaka japan」などの対象が大きなキーワードは表示回数こそ大きいですが、ジャパンガイドへの流入率を表すクリック率の数値は低めになっています。これは大阪のような大都市の場合、必ずしも観光目的だけで情報を検索されているとは限らないためです。
対して、図表②でもGoogle流入率が良かった「大阪城(=Osaka Castle)」「Kuromon market(=黒門市場)」「Shinsekai(=新世界)」などは観光目的の人が検索しやすいのか、比較的良好なクリック率となっています。
しかし最も目を引くのは太字にした「things to do」「what to do」「attractions」など、何か面白そうなものやことを探していると思われるキーワードのクリック率の高さで、いずれも10%を大きく越えています。
とくに「things to do in osaka」「what to do in osaka」はクリック数だけでなく、表示回数でも上位に位置しており、旅行で大阪に訪れるユーザーの興味関心の対象を伺えます。
同様のキーワードですが、京都では次のようになっています。
・things to do in kyoto
クリック数:60,420 表示回数:498,245 クリック率:12.13%
・what to do in kyoto
クリック数:33,406 表示回数:177,965 クリック率:18.77%
どちらのキーワードにおいても全ての数字で大阪のほうが上回っています。
多くのユーザーが、大阪では何をするか(=何を楽しむか)を探している、と言えそうです。
同様の傾向を示す例として、英語の掲示板投稿型ソーシャルサイト「Reddit」にある訪日旅行スレッドの「JapanTravelTips」では「Osaka」で検索すると次のようなタイトルが先頭に並びます。
3番目の投稿を除くと、それぞれタイトルは「大阪で絶対にすべきことは何?」「定番なこと以外で大阪で何をする?」「東京でできなくて、大阪でできることは何?」という問いです。
おそらくアジア圏の旅行者の間では全く違うリアクションになるのではと思われますが、英語圏の人々には大阪の魅力がまだまだよく伝っていないのかもしれません。
最後に
万博に向けて、大阪でも欧米豪など英語圏の旅行者の誘客・消費を促進していく動きがありますが、欧米豪圏の旅行者は訪日滞在日数が長く、一度の旅行中に東京や京都なども一緒に訪れている場合が殆どです。
そのため、欧米豪圏の旅行者の一層の誘客に取り組む場合、東京や京都では味わえない魅力を発信することも重要になるでしょう。
既に「フード」「ショッピング」については一定以上に知られていることと思われますので、それらに加えて観光方面で「大阪だから楽しめること」の発信をして選択肢を増やすことで、より一層旅行者の大阪滞在を有意義なものとすることができるのではないでしょうか。