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欧米豪インバウンド 国別の傾向

ニュース EXPORT JAPAN

中国や台湾、香港等の市場と異なり、一括りにして言及されることが多い欧米豪市場について、観光庁訪日外国人消費動向調査、およびジャパンガイドにおける国別の人気ページのデータを参照しながら、各国の傾向について紹介させていただきます。

今回は、ジャパンガイドへのアクセスが多い欧米豪の英語圏であるアメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダに加え、英語圏ではないものの一定のアクセスがあるドイツ、フランス、また比較対象としてシンガポールに焦点をあてて言及させていただきます。

下記の図表は観光庁 訪日外国人消費動向調査2024年 年次報告書をもとに作成したものです。

図表 国別の消費動向
観光庁 訪日外国人消費動向調査 2024年 年次報告書 をもとに作成

一覧だと比較しにくいため、項目ごとに整理させていただきます。
 

訪問者数:アメリカが圧倒的に多く、それに次いでオーストラリア、カナダ

図表1

まずは訪問者数についてです。

 ご存じの通り、アメリカが最も年間の訪日者数が多く、オーストラリア、カナダがそれに続く順位となっており、欧米豪圏の中でみると欧州諸国からの訪問者数はまだ伸びしろがある状況となっています。
 

平均滞在日数:欧州諸国の滞在日数が2週間超と長い傾向

図表2

全世界での平均滞在日数が9.0日なのに対して、欧米豪諸国の平均は14.1日と長い傾向にあります。
なかでも長期休暇を取得する人の割合が多いとされるフランス、ドイツでは2週間を超える日数となっており、長期で日本に滞在する傾向があります。
 

一人あたりの支出(円):全世界と比較して約1.5倍の旅行支出

図表3

続いて、一人あたりの旅行支出についてです。
全世界の平均が¥226,851なのに対し、欧米豪諸国の平均は¥349,006と約1.5倍の支出額となっています。
滞在日数が高い分、額が大きくなるのは当然かもしれませんが、支出額が大きいことは欧米豪市場の特徴の一つと言えそうです。

では、どのようなことに消費を行っているのか、図表4でまとめさせていただきます。
 

消費構成:欧米豪は宿泊、飲食が中心でアジア市場とは異なる傾向

図表4

ここでは簡略化して図表を作成させていただいております。
割合、金額等の詳細については消費動向調査をご参照ください。

全世界でみると、宿泊>買物>飲食の順番に消費がされていますが、欧米豪諸国に関しては、買物目的というよりも食や体験を求めて訪日する人の割合が多いためか、宿泊>飲食の順に消費がされています。 また、ドイツに関しては買物がトップ3に入っておらず、代わりに交通がランクインしていることも特徴的です。
 

人気の買物カテゴリー:欧米豪は衣類、食料品が多い傾向

図表5

買物のカテゴリーについても、全世界と欧米豪市場と差異が生じています。
全世界でみると、菓子>食料品>衣類の順に人気です。
これに対して、アメリカ、カナダの北米では食料品>衣類>菓子の順番、イギリスを除く欧州、およびオーストラリアでは、衣類>食料品>菓子の順に人気となっています。

情報源:「動画」が上位

図表6

続いて旅行前の情報源についてみていきます。
前に別の記事でも取り上げた通り、かつて口コミサイトを主な情報源としていたのに対して、北米では「動画」、欧州では「親族、知人」を主な情報源としています。 また、アジア市場と異なり、SNSがトップではないことも欧米豪の特徴と言うことができます。

初訪日率:7割前後が初訪日。「初心者向け情報」のニーズが高い

図表7

全世界の平均が35.3%なのに対して、欧米豪市場ではオーストラリアでも62.3%、ドイツでは75.6%と他市場と比較しても、初訪日者の割合が高い市場となっております。
そのため、訪日初心者を意識したコンテンツやメジャーなスポットを取り上げた動画、記事等に対して反応が良い傾向にあります。

図表8 ジャパンガイド国別人気ページトップ15
※2024/07/09 – 2025/07/09 Google Analytics参照
 

最後にジャパンガイドにおける、国別の人気ページについてみていきます。

引き続きゴールデンルートが人気の傾向

ここまでの傾向が色濃く反映された結果となっており、比較対象として追加したシンガポールを除く、欧米豪諸国では、東京、京都、大阪等ゴールデンルート沿いのスポットが人気となっています。

また、各国にて上位にあがっている「Japan Rail Pass Calculator」のページは、自らが巡るエリアを入力することで、Japan Rail Passを使用することでお得に旅をすることができるか試算することができるページです。
元来、他市場よりも長い滞在する傾向にある欧米豪の方々はJapan Rail Passを使用して旅行される方が多く、現在でも自らの行程でのPassの利用を検討するために同ページを訪れているもの考えられます。 一方、平均滞在日数が8.9日と欧米豪諸国と比較すると短い傾向にあるシンガポールでは同ページはトップ15にランクインしておらず、国毎の傾向の違いを見て取れる結果となっています。

伏見稲荷、箱根等、ゴールデンルート沿いのスポットにも多くのアクセス

続いて、東京、大阪、京都以外のスポットのページに焦点を当てます。欧米豪全体では伏見稲荷、箱根、鎌倉が複数の国でランクインしています。また、イギリス、ドイツ、フランスでは近年欧米豪からの旅行者が増加している金沢が、イギリス、カナダにおいて富士登山がランクインしているのもそれぞれ特徴的です。

北米、欧州とは傾向が異なるシンガポール

シンガポールにおいては、これらの国と大きく傾向が異なり、リピーターが多い影響もあってか名古屋、福岡、北海道など地方のページが上位にランクインしています。また、桜予測のページが9位と他国と比較して上位に位置しており、”桜”が人気のコンテンツとなっている様子がうかがえます。

今回は北米、欧州+シンガポールの国ごとの傾向についてまとめさせていただきました。
みなさんが施策を練るうえで参考になりましたら幸いです。

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