AI Overview時代の効果的なインバウンド情報発信とは?
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Google検索にAI Overview(AIによる要約表示)が本格導入され、検索結果の構造はこの1〜2年で大きく変化しました。
図表1のように検索結果の最上部に要約・地図・関連機能・広告など、オーガニックで表示される記事以外の情報が多く表示されるようになったことで、キーワードによっては「検索された=記事が読まれる」という前提が成り立たなくなりつつあります。

※Google英語版: https://www.google.com/?gl=us&hl=en&gws_rd=cr&pws=0
この変化は、インバウンド分野における情報発信にも影響を与えています。特に影響を受けやすいのが、Tokyo や Kyoto といった世界的に知名度の高い目的地です。
これらの地域は「一般的な説明」で十分に要約可能なため、AI Overview内で検索意図が完結しやすく、結果としてオーガニック検索のクリック率が下がりやすい傾向にあります。
一方で、japan-guide.com の Search Console データを見ると興味深い傾向が確認できます。
図表2にあるようにSearch Consoleで「クリック数上位」の検索キーワードを見ると、ページアクセス数が常にサイト全体の中でトップ5に位置している TokyoやKyoto、OsakaよりもKamakuraやHakoneが上位に入り、KyotoやTokyoを上回る結果となっている点です。

※2025/01/01 – 2025/12/31 Search Console参照
※Google Search Consoleとは、検索結果で「どの検索キーワードからWebサイトが実際にクリックされたか」を確認できるGoogleの分析ツールです。
なお、ここでいう「クリック数」は、検索結果から記事が開かれた回数を示すものであり、必ずしもWebサイト全体のアクセス数と一致するわけではありません。
例えば、同じユーザーが複数ページを閲覧した場合や、検索以外(SNS・直接アクセスなど)からの訪問は、このクリック数には含まれません。
検索結果の構造変化とユーザーの検索意図
このような結果となっている主な要因として、検索結果(SERP)の構造とユーザー検索意図があげられます。
Tokyo・Kyotoといったビッグワードの検索結果では、冒頭でも言及したようにGoogle自身の機能(地図、Things to do、AI Overview等)が上位を占めます。
その結果、オーガニック検索結果(=記事等)は下方に配置され、表示回数は多くてもクリックが伸びにくい構造になっています。
これは「コンテンツの魅力が足りない」からではなく、検索結果画面そのものが飽和しているという構造的な問題となっており、成果につながりにくい領域と言えます。 また、旅マエの検討段階から旅ナカでの具体的な検索(ホテル、飲食店を探すなど)までユーザーの検索意図が多岐にわたり、競合となるコンテンツがより多く存在しているという点も影響しています。
Kamakuraがクリックされやすい理由
一方で、Kamakuraなどの大都市周辺の目的地では、検索結果が比較的シンプルです。(図表3参照)

※Google英語版: https://www.google.com/?gl=us&hl=en&gws_rd=cr&pws=0
また、図表4はjapan-guide.comにおけるサイト全体とKamakuraページの国別アクセスを比較したデータなのですが、Kamakuraページは日本からのアクセスが1位となっており、サイト全体と比較しても日本からのアクセス割合が高い結果となっています。
日本からのアクセスを言語別にみると93%が外国語の設定となっており、日本人からのアクセスというわけではなく、おもに”旅ナカ”のインバウンドのユーザーから閲覧されていると推測できます。 このことから、Kamakura を検索するユーザーは、「それが何か」を知りたい段階なのではなく、旅ナカで東京等の大都市周辺エリアにいるフェーズでKamakuraのキーワードで検索をかけ、(鎌倉へ)「行くべきかどうか」、「どう回るか」を検討・判断していると考えられます。
そのため、AI Overviewの要約だけでは情報が足りず、
・どのくらい時間が必要か
・周遊ルートはどう組めるか
・他の目的地と組み合わせられるか
といった判断材料を求めて、記事をクリックしていると推測できます。

※2025/01/01 – 2025/12/31 Google Analytics参照
また、Search Console上位には「hakone loop」「hakone free pass」「things to do in kamakura」など旅程検討に直結する検索キーワードが並びます。
こうしたキーワードで検索をかけるユーザーの意図を要約した文章だけで満たすことは難しく、詳細(所要時間・周遊方法・組み合わせ)を求めて記事を閲覧しようとしている様子がうかがえます。
AI Overview時代に価値が高まる情報とは
上記の例のようにAI Overviewの登場によって、すべてのWeb流入が減るわけではありません。むしろ、価値の所在が明確に分かれ始めたと言えるかもしれません。
たとえば、次のような情報はAI Overviewに吸収されやすくなっています。
・「〇〇とは何か」という説明型の情報
・有名観光地の一般的な紹介
一方で、下記のような情報は依然として人が記事を読んで判断する必要があります。
・モデルルート
・所要時間(半日/1日/1泊)
・アクセスと体験を組み合わせた提案
japan-guide.comのSearch Consoleにおいては、上位は大きく「地域名・周遊(例:hakone loop)」と「実用情報(例:JR pass calculator)」に分かれますが、前者は、旅程を組み立てる判断フェーズで検索されやすい傾向が見えます。
AI Overview時代における情報発信で重要なのは、説明や露出量を増やすことではなく、適切な判断材料を提示することで、旅行者の意思決定にどこまで介入できるか、と言えるかもしれません。



