ジャパンガイドのアクセスデータから見る、訪日外国人の「目的地シフト」と地方分散
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訪日外国人観光客の増加に伴い、旅行者の関心や情報収集のスタイルはここ数年で大きく変化しています。
弊社が運営する訪日インバウンドメディア「japan-guide.com」では、日本全国の観光地や交通アクセスを紹介する約2,000ページのコンテンツを公開しています。今回は、2024年度と2025年度の年間ページビュー(PV)データを比較し、アクセス数が伸びた地域を分析しました。その結果から見えてきた、訪日外国人旅行者の最新動向と、今後のインバウンド施策のヒントを紹介していきます。
PV数が大きく伸びた注目エリアとその背景
2024年度から2025年度にかけてPVを大きく伸ばしたページには、「体験型観光」「地方」「自然や伝統文化への没入」といった共通点が見られました。
PVが大幅に上昇したページ一覧
・祖谷エリア:PV数 約3.8倍(5,499 → 21,276 PV)
・福井県エリア:全体で10%〜30%超の増加
・尾道エリア:PV数 約1.04倍 (241,500 → 252,248 PV)
1. 手つかずの自然と秘境体験:徳島・祖谷エリア
四国の中央部に位置する祖谷渓(Iya Valley)は、5,499PVから21,276PVへと約3.9倍に増加しました。
茅葺き集落や祖谷のかずら橋、渓谷美といった風景が、「日本らしい自然豊かな風景を味わいたい」という欧米豪の旅行者のニーズと重なり注目を集めたことが背景にあると考えられます。
人流データや自治体等の動態分析でも、「祖谷のかずら橋」等を訪れる旅行者はアジア圏中心の他エリアと比べて欧米豪(欧米豪諸国)からの割合(約3割強〜4割)が高いことが分かっています。四国ツーリズム等の意識調査でも、欧米豪客は「自然・景勝地観光(70%以上)」や「歴史・伝統の町並み(約50%)」への関心が非常に高く、これらのニーズが合致した結果と言えます。
(※PR TIMES「訪日外国人旅行者が訪れる「吊り橋」を分析」や 観光経済新聞「四国を訪れる欧米豪旅行者の動向調査」より)

2. 北陸新幹線延伸が追い風となった福井エリア
北陸新幹線の福井・敦賀延伸を受け、福井県内の関連ページは全体的に好調でした。
・Eiheiji Section(永平寺):93,495→104,936PV(+12.24%)
・Fukui City(福井市):26,829→33,723PV(+25.70%)
・Takefu Knife Village(タケフナイフビレッジ):4,351→5,784PV(+32.93%)
アクセス改善に加え、伝統工芸体験など「日本文化に触れたい」という旅行者のニーズとも合致したことが、こちらのページの伸びにつながったと考えられます。
観光庁の消費動向調査等を見ても、欧米豪層やリピーターを中心に「歴史・伝統文化体験」への関心は根深く、費目別の購入率を見ても米国旅行者の約20%が「民芸品・伝統工芸品」を購入しているなど、旅先での体験や文化への没入は重要な要素となっています。特に福井県のタケフナイフビレッジ(越前打刃物)のように、見学だけでなく本格的な職人体験ワークショップを提供する施設は、欧米豪を中心としたコアなファン・旅行者からの支持を獲得しており、TripAdvisorなどの口コミサイトにおいても高い評価を得ております。
(※観光庁「訪日外国人消費動向調査」や 福井県「ふくい観光ビジョン」より)

また、ジャパンガイドでも北陸新幹線延伸に合わせ、福井県の魅力を伝える取材動画『Discovering Fukui by Shinkansen』を2024年に公開しました。歴史的建造物や越前ガニをはじめとする食文化を巡る2日間のモデルコースを紹介した本動画は、多くの外国人旅行者に視聴され現在6万回以上再生されています。テキスト記事と連動した動画による一次情報の発信は、中長期的なプロモーションが可能となり、地方部への足がかりをつくる効果的なアプローチとなっています。
3. 広域周遊ルートとして定着し始めた尾道エリア
ゴールデンルートを一度訪れた旅行者が次の目的地として選ぶエリアとして、瀬戸内・四国の存在感が高まっています。尾道に関するページはいずれもPVが微増しており、大都市圏のPVが減少する中でも安定した人気を示しました。周遊型旅行の定番ルートとして定着しつつある様子がうかがえます。
・Shimanami Kaido(しまなみ海道):142,133→153,905PV(+8.28%)
・Hirayama Ikuo Museum(平山郁夫美術館):3,005→3,268PV(+8.75%)
・Onomichi: Getting there and around(尾道アクセス情報):15,649→17,470PV(+11.64%)
せとうちDMO等の調査データでも、関西(大阪・京都)から入国し、瀬戸内(尾道・しまなみ海道等)を経由して四国や九州へ移動する広域周遊ルートの利用が定着していることが報告されています。特にしまなみ海道は、サイクリング利用者に占める外国人比率が高く、ナショナルサイクルルートとしての国際的認知度の高さがうかがえます。単なる観光地めぐりではなく、「サイクリング」という体験そのものを目的に訪れ、そのまま四国方面へと抜け出していくアクティビティ主導型の周遊スタイルが定着していることが、数字の安定的な伸びを支えていると考えられます
(※せとうちDMO「令和7年度(2025年度)調査事業報告書」や「しまなみ自転車ツーリングTips」より)

地方エリアに関心が集まる背景と検索行動の変化
このように地方や体験型コンテンツへの関心が高まっている背景には、検索トレンドの変化と旅行者の行動変化という2つの大きな要因が考えられます。
1. Google AI Overviewの普及による「ゼロクリック検索」の増加
「Tokyo travel」や「Kyoto tourism」といった検索では、検索結果上に生成AIによる概要が表示されるケースが増えています。必要な情報を検索結果だけで得られるようになったことで、実際にWebサイトへアクセスせず検索を終える、いわゆる「ゼロクリック検索」の影響が大きくなっていると考えられます。

2. オーバーツーリズムを避ける旅行スタイルの広がり
有名観光地だけでなく、より落ち着いた地域での滞在やローカルな体験を求める旅行者が増えています。特に日本へのリピーターを中心に、有名観光地以外へ足を延ばす動きが目立つようになっています。
こうした「地方分散」の動きは公的データにも表れており、実際に、観光庁の「インバウンド消費動向調査(訪日外国人旅行者(観光・レジャー目的)の訪日回数に関する分析)」を見ても、訪日回数(リピート率)が増えるにつれて三大都市圏から地方部へと滞在先が分散していく傾向が示されています。また、「宿泊旅行統計調査」においても地方部での外国人宿泊実績が伸びていることが確認できます。
(※観光庁「インバウンド消費動向調査」 、「宿泊旅行統計調査」より)
このように、定番情報に関しては検索結果上で解決する動きが進む一方で、上記で紹介したような「独自の体験」や「地方の深い情報」を求める旅行者は、より詳細でリアルな情報を求めてWebサイトや動画コンテンツへアクセスする傾向が強まっています。
インバウンド業界として押さえておきたい3つのポイント
考察1:観光地ではなく「体験」が目的地になる時代へ
旅行者は、有名都市を巡るだけではなく、「伝統工芸」「サイクリング」「ハイキング」といったテーマを軸に旅先を選ぶ傾向が強まっています。地方誘客を進めるには、地域名を前面に出すだけでなく、その土地ならではの体験やストーリーを発信することがこれまで以上に重要になっています。
考察2:地方誘客の鍵は、わかりやすいアクセス情報
福井エリアの伸びからも分かるように、交通インフラの整備は旅行先選びに大きく影響します。
ジャパンガイドでも各地域のTransportationページは閲覧率が高く、交通パスや移動ルートを分かりやすく伝えることが、旅行者の「行ってみよう」という後押しにつながっています。
考察3:生成AI時代は「一次情報」が価値になる
AI Overviewの普及によって、「どんな場所なのか」といった基本情報は検索結果だけで完結する場面が増えています。その一方で、混雑状況や現地での過ごし方、最新のマナー、実際に取材したからこそ分かる情報など、一次情報の価値はこれまで以上に高まっています。Webサイトだけでなく、YouTubeやInstagramなどソーシャルメディアを組み合わせながら情報を届けることも、今後ますます重要になってくると思われます。
まとめ
今回のアクセスデータ比較から、訪日外国人の関心が、大都市中心のゴールデンルートから、地方・秘境・体験型コンテンツへと広がっていることが改めて見えてきました。オーバーツーリズム対策や地方創生が求められる今、旅行者が本当に求めている体験を捉え、その魅力を適切に発信していくことが、これからのインバウンド施策では欠かせません。
特に都市部に比べて地方の情報はWeb上にまだ少ない傾向があるため、AIにしっかり回答してもらうための「質の高い情報発信」が今後ますます重要になります。
ジャパンガイドは長年の運営実績と正確な情報発信により、検索エンジン(SEO)はもちろん、近年のAI検索の参照ソースとしても高い評価を獲得しています。Web記事制作に加え、動画制作やSNSでの発信まで幅広いプランをご案内しております。インバウンド発信でお悩みの際は、ぜひお気軽にお声がけください!



